-恐怖夜話-


そして。


だんだんと、その蠢くものの正体が分かってきた私は、思わず息をのんだ。


指、だ。


小さな、子供の指。


それが、カチャリ、カチャリと、冷蔵庫の中からまるで遊んでいるかのように、黒いフックを弄んでいた。


動けない。


視線を逸らしたいのに、金縛りにあったように、身体がぴくりとも動けない。


そんな私を嘲笑うかのように、


すうっと、


音もなく、冷蔵庫のドアが開いていく。



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