-恐怖夜話-

ひたり――。


何者かの足音が耳に届く。


――ダメ。


来ないで。


ひたり、ひたり。


姿は見えない。


でも、私は『何か』が確実に自分の方に歩み寄って来るのを感じた。


フーフーと言う、荒い自分の呼吸音だけがやけに大きく響く。


ピタリ。


私の枕元で、足音が止む。


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