-恐怖夜話-

翌朝。


あのままコタツで眠ってしまったらしい私は、目覚めるとすぐさま実家に電話をして、母をアパートに呼んだ。


そして、昨夜あったことを全て隠さずに、一部始を話して聞かせた。


「緊急事態だっていうから、慌てて来たけど……。何それ? 本当なの?」


鼻息の荒い私とは対照的に、母の反応は落ち着いたもので、私にいれさせたコーヒーをゴクリと飲み下して、いかにも胡散臭そうに眉根を寄せた。


「夢でも見たんじゃないのぉ?」


そ、それは、実は、私もそう思わないことも無かったけど。


あの全身の皮膚が粟立つような恐怖が夢だなんてあり得ない――。


今だって、冷蔵庫を見るのだって怖いのに。

< 48 / 358 >

この作品をシェア

pagetop