-恐怖夜話-
冷蔵庫を薄気味悪そうにチラ見する私の様子に、さすがのリアリストの母もただならぬものを感じたのか、
「分かったわ。じゃ、あの冷蔵庫、今から返品しに行こう」
と、名実共に重たい腰を上げた。
「ええ!? だってもう使っちゃったよ?」
返品はさすがに無理なんじゃないかと思うんですが、お母さん。
冷蔵庫の購入代金の二千円。
もったいない無いけど、社会勉強だと思って諦めるしかない。
安過ぎる物には、何か裏があったのだ。
それよりも、ともかく、この冷蔵庫をどうにかしなければ。
と、母を呼んだ訳だけど。
私がそう言うと、『バカね。処分費のが高く付くわよ、もったいない』と、当の母君は、にべもなく仰った。