僕が彼女を殺しました・・・。
俺はぼーっと外の風景を見ていた。



人がたくさん居る。


スカートを短くした女子高生

ネクタイを締めた早足のサラリーマン

子供の手をひき、買い物袋をぶら下げた母親

冷たい手を握り合って暖めているカップル



いつもと変わらない風景。




何だか少し寂しく感じた。

人が死んでも、
この光景は変わらないんだ。


この広い世界で、

俺達の存在なんて本当にちっぽけで、


居ても居なくても、




何も変わらない・・・・。







「浩一君?どうかしたか?」

「・・・いいえ。ただ・・・。」

「ただ?」

「・・・小さいなぁと思って。」

「何がだ?」


「俺の存在って・・・何なんだろ・・・。」


おっさんは何も答えなかった。



質問の答えが見つからなかったんだろう・・・


当たり前だ



こんな事・・・

誰にも分かりやしない


俺にもおっさんにも・・・他の誰にも・・・。
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