僕が彼女を殺しました・・・。

それから俺は千里と距離を縮めていった。


電話やメールは毎日のようにしていたし、
暇さえあればどこかで会って、
お互いのことや、くだらない話を何時間もした。



千里と過ごしている時は、
全てのものが色鮮やかに見えて、
本当に楽しかった。



でも、千里は俺を男としてみていなかったんだ。



俺の部屋で2人で遊んだ時―――


「翔ちゃんは・・・好きな人いないの?」

「え?何で?」

「何となく・・・。」


この質問に、俺は少しだけ期待してしまった。

だって、そんな事聞かれたら・・・なぁ?


でも、その期待はすぐに打ち砕かれた。





「叶わない恋って・・・したことある?」

「例えば?」

「弟を・・・好きになった・・・」


この時の彼女の目は
ずっと遠くを見ていて、
心はどこかに飛んでいるみたいだった。



すぐに分かった。

千里は・・・弟が好きなんだって・・・。


片思いをしてる時って

どうしてこんなにも相手の気持ちが分かってしまうんだろう。

手に取るように分かってしまう千里の気持ちに、


できれば気づきたくなかったな・・・。


「・・・みたいな?なんてね。気にしないで。」

そう言って嘘笑いをする千里。



そんな笑顔・・・俺にバレないと思ってるのか?



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