僕が彼女を殺しました・・・。
今の俺、本当にカッコ悪い男になっちまってた。

こんなんで好きになって欲しいなんて、
ふざけんじゃねぇよな?


俺・・・逃げてただけだった。

嫌われること、避けられること、
拒絶されることが怖くて逃げてたんだ。


でも、正面からぶつからねぇと
本当の気持ちなんて伝わんねぇよな。



「隆、ありがとな。」

「俺、頑張るから。正面からぶつかってくるわ。」

「おう。ぶつかって来い。」







俺は千里に電話をした。

ボタンを押すことはもう怖くなかった。






「もしもし。千里?」

『・・・翔ちゃん・・・。』

「今から会えねぇか?」

『・・・いいよ。』

「じゃあ、外に出てみて。」

『え?』


窓から彼女の顔が見えた。


『翔ちゃん・・・。』


『ダッダッダッ――ガチャッ』

電話の向こうから、千里が近づく音が聞こえてくる。



「『翔ちゃん・・・。』」

「電話。もう切ってもいいんじゃねぇ?」

「そ・・・うだね。」



そう言って千里はケータイを閉じた。





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