僕が彼女を殺しました・・・。
この日から父さんは、
俺にとってすごく格好いい父さんになった。





母さんは、料理が得意で、いつも笑っていた。
涙もろくて、優しくて、温かな人った。


俺が笑ってる時、
いつも一緒に笑ってくれた。

俺が泣いてる時、
いつも温かな腕で抱きしめてくれた。


いつも傍に居る母さんが俺は大好きだった。




俺には、もう1人大事な家族が居た。

2つ歳の離れた姉、千里(チサト)。


千里は、父さんと母さんとにそっくりで、
本当に優しい女だった。

周りの人のことばかり気にして、
自分の事なんて、全然考えない奴だった。


あいつは皆に優しくしているのに、

皆があいつに優しくすることは無かった。


それが俺はすごく嫌だった。
苦しくて、悲しかった。


きっと千里の方がもっと苦しかっただろうな。
悲しかっただろうな。


それでも、あいつは優しかった。

俺は、千里は強い奴なんだと思った。



でも、そんなに強い奴居るわけ無いよな。

あいつは、本当はすごく弱い奴だったんだ。


皆の前では平気な顔して、
皆が知らないところで、1人泣いていたんだ。


1人泣いてる千里を見た時、思った。


俺がこいつの傍に居てやろう。

俺がこいつを守ってやろう。って。






俺は・・・千里が好きだったんだ。

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