僕が彼女を殺しました・・・。


それからおやすみを言って電話を切った。


あ、そうだ。風呂入ろ。


そう思って、ドアを開けると、

目の前に千里が立っていた。


「あ、ご、ごめんっ!!」

「何してんの?」

「立ち聞きしてた訳じゃなくて、その、いや、えーと・・・。」



こんなに焦ってるんだから、きっと聞いてたな。

別にいいけど・・・。



「えと・・あの・・・えっと・・・。」

あまりに焦っていて、息が荒くなってる。
馬鹿な奴。

こいつはいっつも緊張したり、驚いた時こうなる。


「いいから、まず落ち着いて。」

「あ、うん。ごめん。」

千里は、ゆっくり深呼吸した。

「で、何か用?」

「・・・ううん。何でも・・ない。ごめん。」

「あそ。んじゃ、俺風呂入るから。」



階段を降りていく。



千里に背を向けた途端、
胸が苦しくなった。

立っていられなくなってしまいそうだった。




俺は、

咲と付き合ってから、
出来るだけ千里を避けてきた。


顔を見ないように。

声を聞かないように。


忘れられるように・・・。


そして、
咲と過ごしていくうちに、
忘れられたと思っていた。
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