僕が彼女を殺しました・・・。

『次は~雫浜~。お降りの方は――』



ずいぶん長く乗ったな。

もう雫浜か。


誰も居ないし、降りよう。




俺はボタンを押した。




ドアが開くと、冷たい風が俺の体を突き抜けた。




「寒っ。」


やっぱり11月の海は寒いな。

波も荒いし。

ひと一人居ない。



でも、不思議と落ち着く。

この雫浜が、
今の俺を映し出してるみたいで・・・。




砂浜にそっと座って、

そのまま後ろに倒れた。



空は薄暗くて、グレー色。

雨でも降るんじゃないかと思った。



目を閉じた。


何も見えなくなり、

波の音だけが聞こえてくる。


一定の間隔で聞こえてくる音が、

心地いい。


眠くなってきたなぁ・・・。

寝てしまおうか。




でも、寝たら永遠に目が覚めないような気がしていた。
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