僕が彼女を殺しました・・・。
「俺は!!」




「家族が苦しんでる時に・・・

 傍に居れなかった・・・。」



「傍に居なきゃいけなかったのに・・・

 居れなかった・・・・。」





「だから・・・

 今・・今だけでも・・・

 傍に居たいんだよ・・・・。」







「おっさん・・・

 頼むから傍に居させてくれよ・・・。」







「分かった・・・。動けるか?」

「ありがとう・・おっさん。」


俺は、警察のおっさんと

病室を出た。



「言っとくが、俺はおっさんじゃない。横田だ。」

「失礼しました。横田のおっさん。」


俺が言った途端、おっさんは振り返って、
俺を軽く睨んだ。

でも全然怒りがこもっていない、
優しい眼差しだった。







―――タッ

急におっさんが足を止めた。


目の前には、大きなドア・・・。

この向こうに・・・俺の家族が居るんだ・・・。

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