僕が彼女を殺しました・・・。

「何でだろうな・・・。」

おっさんは優しい笑顔で俺を見ている。


「お前が・・・あいつに似ているからかもしれないな。」

「あいつ・・・?」



「お前には・・・話してもいいかな。」




おっさんは、少し遠くを見ながら話し始めた。






「俺には・・・7歳離れた弟が居たんだ。

 名前は祐樹(ユウキ)って言ってな、
 すっごく可愛い奴だったんだ。


 でも、祐樹は俺の本当の弟じゃなかった。

 俺の親父が施設に居た裕樹を引き取ったんだ。


 弟が出来た俺は本当に嬉しくてな
 
 毎日のようにあいつの名前を呼んだよ。

 そしたらあいつも俺を本当の兄のように思ってくれた。


 初めて俺のことを『兄ちゃん』って呼んでくれた日は、本当に嬉しくてたまらなかったよ。

 毎日が本当に幸せで、
 喧嘩しても
 あいつの事を嫌いになる事は無かった。

 本当の家族に
 本当の兄弟になれたと思ったよ・・・。



 でも、そう思ってたのは
 俺だけだったんだな・・・。




 あいつに初めて彼女が出来た時から、 

 あいつは変わってしまった。


 毎日遅く帰ってくるようになって、

 髪も金色に染めた。

 

 あんなに可愛かった祐樹は・・・
 

 どんどん不良になっていったんだ。




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