僕が彼女を殺しました・・・。
 それで・・・祐樹は死んだ。


 俺は・・・祐樹を救えなかったんだ・・・。」




そんな過去がおっさんにあったなんて・・・。


俺は驚いていた。

こんな優しく笑うのに・・・
影には暗い悲しみがあったんだ・・・。





「だからかもしれない・・・。」


「目の前に居るお前を・・・助けたいと思うのは。」


そう言っておっさんは、
少し悲しそうな笑顔で俺を見た。



「お前にも、言っとくな。」



「言葉って言うのは、言わなきゃ伝わらないんだ。
 どんなにお互いが信じていても、
 どんなに愛し合っていても、
 大切なことは、ちゃんと口に出して伝えろ。」

「・・・・はい。」







でもおっさん・・・

俺・・・もう伝えたくても伝えられねぇよ・・


どんなに叫んでも・・・

もうあいつには届かねぇよ・・・。



もっと早く・・・

その言葉を聞きたかった・・・。



もっと早く・・・

気付くべきだった・・・・。






おっさんの言葉は、俺の心を逆に辛くさせた。


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