恋*クル〜2nd〜
ドキン、として、あたしはギュッと目を閉じた。
腰に回された腕がゆっくりと背中へと移動していく。
――とうとう……きてしまった。
もう今さら、後には引けない。
……引くつもりもないけれど、やっぱり緊張と恐怖が自然と襲い掛かってくる。
「……おやすみ」
「……へっ?」
予想外にも、武人はそれ以上のことをしようとせず、そう言って目を閉じた。
拍子抜けしてしまったあたしは、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
武人はあたしの間抜けな声を聞いて、閉じた目をゆっくりと開ける。
「何もしないよ。言っただろ? 覚悟ができたら梓の方からきてって」
「あ………」