恋*クル〜2nd〜


きっと、こんなにドキドキするのは生まれて初めてだと思う。


ほんの少しの“怖い”という気持ちと、武人を愛しいと思う気持ち。

入り乱れて、何に対してドキドキしているのか分からなくなるほど混乱している。



ドキドキという胸の音が、しだいに興奮を増したドクドクという重い音へと変わっていく。



「……武人?」



ふいに、武人の動きが止まる。

後ろからあたしを抱きしめていた腕が、そっとほどかれた。


それまでの愛しい温もりが、気まずい空気へと変わっていくのを、あたしは背中で感じ取った。



「梓……、これ何だよ」

「え……っ?」

「首のうしろ……」



冷ややかな武人の言葉に、心臓がドクンと撥ねる。


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