恋*クル〜2nd〜
*武人 side①*
――“おまえ、最低だな”
梓の首筋にうっすらと残っていた薄紫色の痕。
すぐにその相手が市橋だと分かった。
あのあと梓は、何も言わずにすぐアパートを飛び出して行った。
静かに閉められた玄関のドア。
バタバタと部屋の外から聞こえた、走り去る足音。
追いかける気にもなれなくて、俺はベッドの中でギュッと固く目を閉じた。
信じていたのに
市橋とは、なにがあっても間違いなんか起こらないって――……