恋*クル〜2nd〜


「――どうしたんすか?」



突然俺に呼び出された信一は、

喜びと不安が入り混じったような複雑な表情をしていた。


信一が俺のアパートに来たのは今回が初めてで。

引っ越し祝いと言って、信一は小さな観葉植物の鉢植えを片手にやって来た。


【モンキーポッド】という名前の植物で、信一いわく、その成長は驚異的らしい。



“面倒見るのは梓さんになるしょうね”

信一の口から梓の名前がこぼれた瞬間、自分の顔色がすぐに変わったことを感じた。




「何かあったんですか?」



梓の名前を耳にしてから、

一言も口を利かなくなった俺の顔色を伺うように、信一は声のトーンを落として訊いた。



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