恋*クル〜2nd〜
語気を強めて言う信一に、言葉を失う。
梓が市橋と浮気した。
ただ、その事実にだけ翻弄されて、なぜそういう経緯になってしまったのか。
冷静に話ができる状況じゃなかったことは確かだ。
「梓さんと話し合うべきですよ」
「…………」
首を縦にも横にも振らない俺に、信一はさらに言う。
「ほら、今すぐ! 今後のことは、話し合ってから、ですよ?」
力なく床に座り込んだままの俺を、信一は無理に立たせると、引きずるようにして玄関へと連れて行った。
そして、強制的に俺を部屋の外へと追いやった信一は、ニッと笑って言った。
「本物のヘタレにならないでくださいよ?」