恋*クル〜2nd〜


部屋を追い出されたあと。

俺のこの二本の足が、素直に梓のアパートに向かうはずがない。

信一は、この部屋の住人を追い出したうえに、ご丁寧にも玄関に鍵までかけた。



どうする――?



いまだ足が動かず、玄関のドアに背中を押し当て、そのままストンと腰を下ろす。

ここから、梓が住んでいるアパートがよく見える。



心臓がドクドクと、落ち着かない音をたてはじめた。



ヘタすりゃ、梓と別れることになる。

もしかしたら、梓は市橋に気持ちが揺らいでいるかもしれない。




でも――……


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