恋*クル〜2nd〜
「――市橋に未練があったのか?」
俺が訊くと、梓は顔を歪ませて否定する。
「未練なんかあるわけないでしょう? あたしは武人を……」
「じゃあなんで、あんなことになったんだよ」
「………」
どうして、と、問うているのに。
梓はしばらく黙ったあと、か細い声で“ごめん”としか言わない。
「梓。どうして、市橋と? 同意の上だったのか?」
――まるで、事情聴取だ。
責め立てるようにして訊く俺を、梓はちらりと見て、呟くように話し始めた。