恋*クル〜2nd〜
「江田と別れたのか?」
「……いや。別れてねぇよ」
市橋はひどく驚いた顔で、突っ立っている俺を見上げた。
「一つ訊きたいんだけど、おまえ、本当に梓と……したのか?」
信一が問うた、俺にとっては都合のいい疑問点。
いちばんの核心となるところだ。
市橋は俺を真っ直ぐに見て、はっきりと言った。
「――したよ、最後までね」
表情ひとつ変えずに、さらりと言ってのける市橋に、怒りを覚える。
自分の右手が自然と拳をつくったけれど、それを振り上げてしまわないように、俺は必死に抑えた。