恋*クル〜2nd〜
「……金森? 聞いてるのか?」
相づちすら打たない俺に、市橋は顔を覗き込みながら問いかける。
「……あぁ、聞いてるよ。そうだな、おまえの言うとおりだ」
感情が篭っていない言葉。
俺の頭のなかは、真っ白だ。
「梓に、非はないんだからな」
俺の言葉を聞いて、市橋はホッとしたような顔をする。
その場を取り繕うだけの、言葉。
そのことに、市橋は気づいていない。
あんなに、市橋と話をしたいと願っていたのに。
今の俺は、この場を逃げ出したくなっていた。