恋*クル〜2nd〜
もし、俺が電話をかけたら。
梓はちゃんと向き合ってくれるのかな。
言葉を濁しながら、俺と会うことを拒絶したりしないかな。
開いた携帯を勢いよく閉め、ジーンズの尻ポケットにねじ込む。
そして、大きく深呼吸をし、俺は梓のアパートへと向かった。
――きっと……
あの夜のことは、梓の意思が無視されていたことだけが救いなんだ。
今でも目を閉じれば、梓と市橋のことが頭に浮かんでくる。
悔しい。ムカつく。
いろんな感情が、吐きそうになるくらいに押し寄せてくる。
でも、俺が一歩、前に進まないと、梓との関係はこじれたままになるんだ。
早いうちに、進まなきゃいけない。
でないと俺は、きっと、梓を失ってしまうから――……