恋*クル〜2nd〜
ゆっくりと時間をかけて帰り着いたアパート。
一息つこうとコーヒーを淹れる準備をしていると、玄関のドアが遠慮がちにノックされた。
ドアスコープを覗くと、その小さな丸い窓には向かい側の景色しか見えなくて。
ドアをノックした人物は映っていなかった。
「………?」
チェーンを外し、鍵をゆっくりと開け、ドアを僅かに開く。
「……たけ……と?」
ドアのすぐ脇に、武人が身を隠すようにして立っていた。
あたしが声をかけると、武人は口を尖らせたまま、少し照れくさそうに軽く頭を下げた。