恋*クル〜2nd〜

*“アレ”は無理*




「……もう少し、離れてもらえませんか!?」



空席が目立つ夕方のファミレス。

目の前に座っている信一くんが、がるる、と、犬のように牙をむきながらあたしたちに言った。



「無理っ。俺と梓は一心同体だから」



四人がけのテーブルのソファ。

ゆったりと座れるのに、武人はぴったりと、あたしに体をくっつけて座っている。



「……アニキ。本当にヘタレになってしまったんですか?」



一人でポツンと座っている信一くんが悲しげに武人に言う。



「はい、梓。唐揚。口開けて?」



武人は信一くんの問いかけに答えもせずに、フォークで突き刺した唐揚をあたしの口へと運ぶ。


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