恋*クル〜2nd〜
この腕で、悦子さんを抱いたのか……。
元カノなんだし、当たり前でしょ?
嫉妬してどうするよ?
そう自分に言い聞かせるものの、やっぱり気持ちが沈んでしまう。
「聞いてる? 梓ちゃん」
「おい、金森ー」
――げっ……
聞きなれた声が、あたしの背中の方から武人を呼ぶ。
振り返って確認するまでもない。
市橋くんだ。
「なんだよ。講義が始まったら自分の席に戻るし」
市橋くんの席はあたしの前の席。
講義が始まるまでのあいだ、毎回、武人がそこを占領してしまっている。