恋*クル〜2nd〜
「で、何があったんですか?」
涙目になっている信一くんは顎を擦りながら、ほとんど棒読みに近い口調で訊いてくる。
そんな生意気な態度に少しカチンときたけれど、とにかく今は胸のうちを聞いて欲しくて。
あたしは、今日の出来事や市橋くんという元カレのことを、一部始終話した。
「あぁ……なるほどね……」
話を聞き終えた信一くんは、頬杖をついて大人ぶった態度で口を開く。
「アニキ、怒っているんじゃなくて……。たぶん、複雑な気持ちになったんじゃないですか?」
「……複雑な気持ち?」
「うん。梓さんと市橋さん、嫌いで別れたわけじゃないんでしょ?」
「うん」
「アニキと悦子さんもそうだったわけだし……」