恋*クル〜2nd〜


「あたしがここに来たのは……、自分の気持ちをちゃんと話そうと思って」

「自分の気持ち?」

「うん。……あたしは市橋くんとヨリを戻す気なんか、全然ないし。それに……」

「――それに?」



“あたしには、武人だけから”

喉元まできているのに、その一言が言葉にできなくて口を噤む。



「なんだよ、言えよ」

「う……っ……」



なんでこういう時に限って、クールな武人なのよ。

ヘタレな武人だったら、さらりと言えるのに。


あんまり、じっと見ないでよ。

そんなに見つめられたら、あたし、言えるものも言えなくなっちゃうし。


< 67 / 213 >

この作品をシェア

pagetop