恋*クル〜2nd〜
少しイラついたように言いながら、武人が突然あたしを抱きしめる。
「えっ、ちょっと……っ」
あたしの両腕は、武人の腕の中に捉えられていて、抵抗しようにもできない状態。
ふわりと漂う武人の匂いと、頬にあたる柔らかい髪。
「これなら言えるだろ?」
耳にダイレクトに届く低い声に、全身がぞわぞわと逆立つ。
「う、うん」
本当なら、顔を見てきちんと思いを伝えないといけないのに。
武人にまっすぐに見つめられたら、言葉が出てこなかった。
でも、これならちゃんと言える。
ただ……、さっき以上に、あたし、泣いちゃってるけど。