恋*クル〜2nd〜
「でさ、俺……。高校の時に梓のこと好きって言っておきながら、悦子とヨリを戻しただろ?」
「……うん」
「その時のこと思い出してさ。梓は俺のこと好きなのに、市橋とヨリを戻す可能性もないとは言えないなって……」
「そんなこと……! 絶対にあり得ないって!」
少しだけ腹が立ってしまって、あたしを抱きしめている武人の腕を振りほどく。
息がかかるほどの至近距離に、一瞬ドキンとする。
すぐ目の前にある端整な顔立ちは、あたしをじっと見据えていた。
あまりにも顔が近すぎて、あたしは顔の火照りを感じながらほんの少しだけ仰け反り、口を開く。
「で、悦子さんとはどうして一緒にいたの?」
あたし、真剣に聞いているのに。
武人はニッと笑って言う。
「……妬いてる?」