恋*クル〜2nd〜
淡々と話す武人だけど、あたしは武人が耳まで真っ赤になっているのに気づく。
「で、悦子さんは何て?」
「一言、“しっかりしろ”って。そんな気弱になっていたら、絶対に市橋にとられるってさ」
「……でも、なんで悦子さんなの?」
そんな相談、元カノになんでするの?
武人が言うとおり、あたしは悦子さんに妬いてる。
悦子さんじゃなくたっていいじゃない。
信一くんでいいじゃないって。
「こういうのって、女の方がいいかなって思って。俺、女友達いないし。……でも、ごめん。不安にさせてしまったな」
頭を撫でる武人の手がゆっくりとあたしの頬に伸びてくる。
まるで魔法にかけられたように、あたしは身動きひとつできなくて、ただ武人を見つめる。
武人の唇が少し開いて、ゆっくりと顔が近づいてきて、あたしは自然に目を閉じた。