もう一つの赤ずきん
「━━━ごめん。」

一言聞こえた言葉。
うつむいてた顔を上げた。
「あっ、ごめんってのは、そういうんじゃなくて…」


焦って言うオオカミさん。

「くすっ。…じゃぁ、何?」

姿に思わず笑いがこぼれる。

「その……こういうこと。」

私に向かって手を伸ばす。

でも、その手は私の体をすり抜けていった。

「……」

何故か冷静にそのことを受け止める私。

心のどこかで分かっていたのかもしれない。

こんな風になることを。




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