再会
私は言う。
「結婚、してたんだ。おめでと」
震える声に悟られぬそのよう。
「うん」
「子供、どっちが産まれるの?」
「男」
「へえ。キャッチボール出来るじゃん」
「うん」
「楽しみだね」
「うん」
「元気な男が無事産まれますように」
「ありがとう」
「じゃ行くよ私。さよなら」
少しだけ顔を横に向けてケイタを見る。
前髪で潤んだ目を隠すようにした。
ケイタは真っ直ぐに私を見ていた。
隠そうともせず涙を流しながら
「さよなら」
とケイタは言った。
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