リセット
記念すべき彼氏一号になったのは、何も知らない男だった。
私より2年も長く生きてる割に、恋もした事がなければ、異性に対する接し方も知らない。
何でそんな男を選んだのか…そもそも出会ったのが、そういうのを目的としたサイトだったからと言うのもある。
本気だったわけじゃない。
ひっかかる男が居たらラッキーかな…とかそういう感覚。
で、見事に引っ掛かってくれたのが色恋沙汰に無知な男。
初対面は新宿。ブラブラ歩いて、ゲームセンターを周る。
何で20歳にもなってゲームセンターかって?
理由は簡単。彼氏様はゲームセンターが大好きらしい。
可愛いと言った黒猫のマスコットをクレーンゲームで取ってくれた。
そんなこんなで、日が暮れて、その日はお開き。
告白を受けたのは、2回目の接触で。
花火大会の日だった。
場所はよりによって居酒屋。花火大会後というのも手伝って、何処の店もいっぱいで、入れても宴会用の大きなテーブルに案内される。
そんな中での告白…
私の人生初の告白はある意味、とてつもなく衝撃的だった。
そして思った。
告白されてもドキドキも何にもしない自分に。
恋じゃぁないよね?
恋じゃぁないねぇ。
胸中で自問自答して、眼前でキョドる男に笑った。
多分心中の私は嘲笑してたんだと思う。
たった2回会ったくらいで私の何を知ったわけ?…って。
馬鹿だね。早まっちゃってさ。
…って。
最低な女と、それを知らぬ間抜けな男。
恋愛という名前だけの
恋人という肩書きだけの
二人の『ハジメテ』は、8月の半ばにスタートした。