りんごあめみたいな

「うん…うん。あー…分かった。いいよいいよ、気にしないで」


中島が携帯電話を閉じてポケットにしまう時誰からか聞いた。


「小川だよ。なんか、ちょっと彼氏と遅れていくから先回っててって。」

ちょっと残念そうな顔の中島。


少し胸が締め付けられた気がした。


だんだん辺りも暗くなって祭りの色とりどりの屋台の看板がいい感じに綺麗。


どこからか祭りらしい音楽も流れてくる。


『あっ、バナナっ!チョコバナナ食べたいっ』


そう言ってチョコバナナを買ってくると中島がいない。


『中島?』


チョコバナナ片手に、何度も中島を呼ぶ。


「ごめんごめん。ちょっとこれ買ってた。」


人ゴミの中から中島が見えて安心する。


まるで迷子の小さい子供のように。


中島の手にはブルーハワイのかき氷。


「冷たー。でもうまいっ」

『チョコバナナ甘くて美味しい』


「お前、チョコついてるぞ、ココに。」


『中島だって舌が青いよ?』

2人は目を合わせると笑いを堪えきれなくなった。


周りの賑やかさにも負けないくらいあたしたちも笑った。



< 13 / 51 >

この作品をシェア

pagetop