りんごあめみたいな

お祭を楽しんでる最中、あたしはりんごあめの屋台を見つけて列に並んだ。

横には中島。


あたしの番が来た。

『りんごあめ1つ下さいっ』


「あいよっ」


おじさんは威勢のいい返事をしてくれてりんごあめを一つくれた。


あたしもお金を払おうとするとあたしの顔の横からすっと手が伸びた。


振り返ると中島の手だった。


『えっ、中島っ?!』


「おごりです♪どうぞ美味しく召し上がってくださーいっ!」


慌てるあたしとそれ見て笑う中島。


『でも悪いよっ』


そう言って財布を出そうとした。


「いいって。ほら、今日は俺と川上のデートもどきだし」


『デートもどき?』


プッと吹き出る。


「今日は川上は俺の彼女ねっ♪」


ふざけて言う中島の言葉なのに…。


“川上は俺の彼女”…。

その言葉が嬉しくて。


そしてなんだか恥ずかしくて顔が熱くなるのが分かった。


「あれ?川上さん、顔赤くないですか?」


『うるさいっ。暑いだけだもん。照れてるわけじゃないからっ』


「誰も川上が照れてる、なんて言ってませんよ?」


にこにこ笑う中島は今日は悪魔だ。


そう思って中島を睨み付けようとするにも目があって恥ずかしくて自然に目を逸らしちゃう。



< 14 / 51 >

この作品をシェア

pagetop