りんごあめみたいな
「あー…」


そう声を出して俯く中島。

しばらくそのままの状態が続いた。


「…俺さ、実は小川の事好きだったんだ。」


しばらくして中島から出た言葉にあたしの動きは止まる。


目だけが中島を見ていた。


「彼氏いる奴好きになるとかさー、俺も馬鹿だよなー。でもなんかアイツほっとけなくて…。」


中島の口からこんな事聞きたくなかった。


気付けば涙が流れていた。


でも、雨と傘のおかげで上手く中島には気付かれていない。


「…で、気がついたら好きになってた。さっき追いかけたらアイツ泣いてて。」


中島はフッと笑う。


「見てて切なくなって…告ったんだ。」


ドクン


心臓が強く鼓動を打った。


「フラれた…。」


へラッと笑ってそう言う中島。

でもどこか悲しげな表情。


なんでそんな顔するのよ。


止まらなくなっちゃうじゃん。


私は気が付いたら駆け出していた。


頬を伝う涙。


地面に転がる傘。


あたしはぎゅっと中島を抱き締めていた。


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