りんごあめみたいな
「…川上っ?!」
『…に…なよ…。』
「え?」
『あたしにしなよっ!』
大声で言ったあたしは中島を見上げて背伸びした。
中島の唇に自分の唇をあてる。
ちゅっ
ほんの一瞬の触れるだけのキス。
唇が離れて、中島を見つめた。
中島も赤い顔してあたしを見つめる。
『あたしを好きになってよ!ねえ、中島っ』
そう言って涙を流す。
『…っ。』
あたしは傘も置いたまま家まで走った。
雨は小雨だったけど、
浴衣は雨に濡れた。
中島が似合うって言ってくれた色の浴衣なのに…。
リビングの方からきたお母さんに早く着替えるように言われ、部屋着に着替えた。
浴衣はお母さんがなんとかするらしい。
あたしな自分の部屋にもどりパタン、とドアを背中で閉めた。
そしてそのまま泣き崩れていく。
言ってしまった。
自分の気持ちを。
中島にー…。