りんごあめみたいな
そう心は思っているのに
あたしの指先は勝手に返信していた。



『いいよ』



メールを送って携帯を閉じると制服に着替えた。

朝食を済ませて髪もちゃんととかしてから学校へ向う。


なんだかいつもより重い足で歩くのは朝から疲れた。


教室に着くと、もうたくさん人がいて教室中が賑やか。


今のあたしの沈んだ心にはこの賑やかさが有り難かった。


中島は教室の隅で男子達と楽しそうに笑ってた。

あたしは友達と喋りながら朝の時間を過ごしたけれど時々聞こえる中島の笑い声があたしを淋しくさせた気がした。


中島はいま何を考えているのだろう?


そんな時、「中島っ」小川さんの綺麗な声があたしの心に響いた。


自然と中島の方を見る。

中島と小川さんは同じ保健委員なのだ。


中島の気持ちを知っている周りの男子たちが協力して小川さんと中島をくっつけたのだ。


2人の楽しそうな姿を眺めるのは慣れたはずなのに昨日の事もあったせいか心が締め付けられる気がする。



…でも気のせいだろうか。


今日は中島の顔がトマトじゃない気がする。


そう思って見ていたら中島と目が合った…気がした。


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