りんごあめみたいな
「ではご一緒に帰りましょうか?お姫様?」


散々笑った中島はそう言ってあたしに手を差し出す。


何、王子様ぶってるんだあー。


『トマトのくせに生意気。』


そう言って中島の差し出された手の上に手を乗せる。


すると中島はぎゅっと手を握ってにこっと笑った。


『ずるいよ、中島』


呟くようにいう。


「ん?何?」


聞こえなかったみたいでくるっとこっちを見てまたあたしの好きな笑顔でこちらを見る。


その顔がずるいんだってば。


でもキュンて来ちゃうから、なんだか悔しい。


結構今日は涼しいな。

やっと秋がきた感じ。


「あのさ、小川の事なんだけどさ。」


ドキン。


「俺さ…、確かに小川の事最近まで好きだったからこんな事言っても説得感ないかもだけどさ」


繋いでいる手が少し汗ばんできた。


「でも…いま好きなのは…その、川上…なわけで…」


だんだん中島の顔が赤くなる。


「…祭りの日さ、川上の泣き顔が頭から離れなくてさ。そーいえば川上ってよく泣くし、いつの間にかほっとけないっていう…」


『母性本能?』

ちょっとふざけてみる。
「いや、母性じゃないだろ。俺、男だから。…とにかく、川上が好きなんです。」


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