りんごあめみたいな
どくりんご
小川さんには隣のクラスに彼氏がいる。
付き合って1年半らしいけど、最近あんまり良くないんだって。
喧嘩ばっかりなんだって。
喧嘩なんかしないで、毎日ラブラブで一緒に登校してきて、教室でもイチャイチャしてくれればいいのに。
そしたら中島も諦めるかもしれないのに。
でもそんなに世界は自分中心には回らないわけで。
中島は相変わらず小川さんにはトマトになる。
悔しいけど、これが現実。
あたしの好きな中島は、彼氏のいる(最近はちょっと微妙だけど)小川さんが好きなんだ。
そんなの知ってるよ。
ただ、ふとした時にポロッと涙がこぼれる時がある。
しかも今、中島の目の前で出て来た。
あたしのばか野郎っ!
この状況で泣くなんてっ。
「どーした?」
心配してくれる中島は下を向くあたしの顔を覗き込んだ。
びっくりしてあたしまでトマトになりそうで。
『なんでもないよっ。目にゴミがさっ。』
そう言ってくるっと方向転換。
そのまま早足でトイレに直行。
あたしは欲張りになっちゃいけないんだ!
そう自分に言い聞かせる度悲しくなる。