ミステリアス∽ストーリー
第一章 ― 編入 ―
校舎内にチャイムが鳴り響く。
愛梨は、担任教師に連れられて、廊下から続く階段を上がる。
編入した学校は、深みのある茶色の重厚な建物で目立つ、私立の名門校。
歩みを進める廊下から見えるのは、閉めきられた教室の窓ばかりで、生徒がいるはずの教室からは、声ひとつ聞こえない。
噂では聞いていたが、正に、『優等生』が集まるといった風で、朝のチャイムだけが鳴り響く、静まり返った校舎内だった。
『優等生……頭が良いのか…、いい子振りなのか………』
愛梨は、そんな事を考えながら、平常心で歩いていた。
初めての転校なので、実感がなく、愛梨は、落ち着いていた。
一歩前を歩いている担任教師が、足を止めた。
それに気付き、愛梨も、足を止めた。
「神崎さん。ここが、貴方のクラスです」
担任教師は、振り向かず、僅かに顔を斜め後ろに向けただけ。長い黒髪から僅かに見えた眼鏡の光が、見えない目つきを、鋭い目つきに想像させた。
「はい。………」
愛梨は、以前の公立学校での、表情豊かな先生達を思いだしながら、違いを感じる。
担任教師は、冷たくも見える態度で、凛々しく教室の扉を開ける。
担任教師が、教室の中へと歩みを進めると、一人の女声の『起立』の号令とともに、椅子の音が、一斉に聞こえた。
教室の中から聞こえた女性の声は、同級生とは思えないほど、大人びて、澄んだ声だった。
廊下にいる愛梨は、顔の見えないその声と、まだ見ぬ教室内から感じる雰囲気に、初めての感覚を感じていた。
これが、どういう感情なのか………。
愛梨には、まだ、言い表せなかった。
自分でも、わからない感情。
ただ、良い感情ではない事は、感じていた。
愛梨は、教室の入口にあるクラスのプレートを見上げる。
『二年藍組』
【藍組?…、数字とかアルファベットではないの?………】
愛梨は、プレートを見つめて思う。
「神崎さん。早く入りなさい」
愛梨を促す、担任教師の酷く冷めた声。
その声に、慌てて愛梨が見ると、担任教師は、冷たく愛梨から、素早く目をそらした。
「はい。…」
愛梨は、素早く、教室の中へと足を進めた。
愛梨は、担任教師に連れられて、廊下から続く階段を上がる。
編入した学校は、深みのある茶色の重厚な建物で目立つ、私立の名門校。
歩みを進める廊下から見えるのは、閉めきられた教室の窓ばかりで、生徒がいるはずの教室からは、声ひとつ聞こえない。
噂では聞いていたが、正に、『優等生』が集まるといった風で、朝のチャイムだけが鳴り響く、静まり返った校舎内だった。
『優等生……頭が良いのか…、いい子振りなのか………』
愛梨は、そんな事を考えながら、平常心で歩いていた。
初めての転校なので、実感がなく、愛梨は、落ち着いていた。
一歩前を歩いている担任教師が、足を止めた。
それに気付き、愛梨も、足を止めた。
「神崎さん。ここが、貴方のクラスです」
担任教師は、振り向かず、僅かに顔を斜め後ろに向けただけ。長い黒髪から僅かに見えた眼鏡の光が、見えない目つきを、鋭い目つきに想像させた。
「はい。………」
愛梨は、以前の公立学校での、表情豊かな先生達を思いだしながら、違いを感じる。
担任教師は、冷たくも見える態度で、凛々しく教室の扉を開ける。
担任教師が、教室の中へと歩みを進めると、一人の女声の『起立』の号令とともに、椅子の音が、一斉に聞こえた。
教室の中から聞こえた女性の声は、同級生とは思えないほど、大人びて、澄んだ声だった。
廊下にいる愛梨は、顔の見えないその声と、まだ見ぬ教室内から感じる雰囲気に、初めての感覚を感じていた。
これが、どういう感情なのか………。
愛梨には、まだ、言い表せなかった。
自分でも、わからない感情。
ただ、良い感情ではない事は、感じていた。
愛梨は、教室の入口にあるクラスのプレートを見上げる。
『二年藍組』
【藍組?…、数字とかアルファベットではないの?………】
愛梨は、プレートを見つめて思う。
「神崎さん。早く入りなさい」
愛梨を促す、担任教師の酷く冷めた声。
その声に、慌てて愛梨が見ると、担任教師は、冷たく愛梨から、素早く目をそらした。
「はい。…」
愛梨は、素早く、教室の中へと足を進めた。