ミステリアス∽ストーリー
「あった…」
愛梨は、扉のプレートを見つめながら、目を丸くした。
「…ありがとうございます…」
愛梨は、目を丸くしたまま、不意に、御礼の言葉を呟いた。
廊下を駆ける足音が聞こえてきた。
その音は、自分の方へと近付いてくるので、愛梨はその方に目を移した。
ブラウン色の長い髪をなびかせて、一人の女子生徒が、愛梨の方へと駆けてきたのだった。
「神崎さん、化学室、わかったのね。良かった」
彼女は、笑顔で愛梨に話しかけてきた。
この学園で、笑顔をする人を初めて見たのだった。
「…えぇ。……?、あ、同じクラスの人?」
「そうよ。今日、来たばかりだから、わからなかったわよね。私が、神崎さんって呼んだから、クラスメイトかなって思ったんでしょ?」
「えぇ」
「私は、尾上 舞。よろしくね」
舞は、握手を求める様に、右手を差し出した。
【え、…サラリーマンでもあるまいし…】
愛梨は、少し戸惑った。
友達同士で、握手など、わざわざしない。
習慣に無いことなので、躊躇した。
いつもなら、普段に無い事でも気にせず、寧ろ新鮮さを感じたかもしれないのに………
そして、
理由は、もうひとつ。
さっき教室での、無表情なうえ、冷たい眼差しだったクラス全員の顔を思い出す。
今、同じクラスだという舞は、満面の笑みを浮かべている。
まったくの正反対。
さっき、教室で、舞の顔を見たわけではないが、あの中にいたのだと思うと、その変わり様に、愛梨は、とっさに躊躇したのだった。
普段は、前の出来事を思い出して深く考えるタイプではないのだが………
愛梨は、扉のプレートを見つめながら、目を丸くした。
「…ありがとうございます…」
愛梨は、目を丸くしたまま、不意に、御礼の言葉を呟いた。
廊下を駆ける足音が聞こえてきた。
その音は、自分の方へと近付いてくるので、愛梨はその方に目を移した。
ブラウン色の長い髪をなびかせて、一人の女子生徒が、愛梨の方へと駆けてきたのだった。
「神崎さん、化学室、わかったのね。良かった」
彼女は、笑顔で愛梨に話しかけてきた。
この学園で、笑顔をする人を初めて見たのだった。
「…えぇ。……?、あ、同じクラスの人?」
「そうよ。今日、来たばかりだから、わからなかったわよね。私が、神崎さんって呼んだから、クラスメイトかなって思ったんでしょ?」
「えぇ」
「私は、尾上 舞。よろしくね」
舞は、握手を求める様に、右手を差し出した。
【え、…サラリーマンでもあるまいし…】
愛梨は、少し戸惑った。
友達同士で、握手など、わざわざしない。
習慣に無いことなので、躊躇した。
いつもなら、普段に無い事でも気にせず、寧ろ新鮮さを感じたかもしれないのに………
そして、
理由は、もうひとつ。
さっき教室での、無表情なうえ、冷たい眼差しだったクラス全員の顔を思い出す。
今、同じクラスだという舞は、満面の笑みを浮かべている。
まったくの正反対。
さっき、教室で、舞の顔を見たわけではないが、あの中にいたのだと思うと、その変わり様に、愛梨は、とっさに躊躇したのだった。
普段は、前の出来事を思い出して深く考えるタイプではないのだが………