見えない翼
「・・・・・─────和輝?」
そこには昔交通事故で死んでしまった
恋人だった三浦和輝(みうらかずき)に
そっくりな男が不機嫌そうに私を睨んでいた。
その顔までもが和輝にそっくりで
少しの期待が私の頭をかすめる。
「誰だよ和輝って。
ってか早くどいてくんない?
あんた重いから」
男の冷め切った言いように
私の期待は呆気なく打ち砕かれた。
違うよねってか居る訳ないじゃん和輝はもう
居ないのに。
触れることも声を聞くことも
出来ナイのに・・・────。
「すみません。」
私は一言そう言うと男の上から降り
ある場所へと足を進めた。
少しでも空に居る
和輝と近ずくために.....。