見えない翼
「っ────」




初めてにも関わらず
何故だか懐かしく思える景色に私は静かに涙を流した。




「ピュー」



突然吹いた春風によって桜のハナビラが私の掌に舞い落ちた。





ドックン
ドックン


不意に締め付けられるように私の心臓は痛み出した。




桜は和輝が大好きだった花......。




──────────・・・・・。



『俺 
三浦和輝よろしくな!!』



『桜って瑞希みたいだよな。
淡く儚くて一生懸命咲いてて

だからかな?俺は桜が大好き。』




『あのさ俺と付き合ってくんねぇ?』




『大好きだ
ってかもう愛してる(笑)」




『幸せ に な れよ』




──────────・・・・・。




突然フラッシュバックする記憶
和輝と交わした言葉、そして大切な大切な沢山の思い出達

私の感情はもう溢れ出しそうだった。






そして最後に見えた和輝の笑顔。。







プツンっ







私の中で長年張り詰めていた何かが一瞬で音を立てて切れた。
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