Rainy-Rainy
キーンコーンカーンコーン。

ノイズ混じりのチャイムが授業の終わりを告げ、解放された生徒達が次々に席を立つ。

私も彼らと同じ様に立ち上がり、財布片手に桂くんの所に向かう。


「桂くん、ご飯いこう」

「あぁ。すぐに行くから、少し待て」


そう言って、桂くんはノートに赤ペンで書き込む手を早めた。

先生が最後に言っていた細かい説明をわざわざ写しているらしい。

さすが、学年一位の秀才さん。

毎回の結果は、こういう積み重ねに裏打ちされているんだね。


「すまない、待たせたな」


片付けるのを待ってから、二人連れだって教室を出る。

それから、妙に殺気立った人でごった返す学食へ赴く。

しかし、ここは相変わらずの盛況だなぁ。

この中へ入ってパンやおにぎりを買うって考えるだけでげっそりしてしまう。


「ここで待ってろ」


桂くんはぽんと私の肩を叩いて、一人で人山の中へと割り入っていく。

………。

……。

…。


一分後。

桂くんが何食わぬ顔で、一番人気の焼きそばパンを二つ手にして戻って来た。


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