Rainy-Rainy
怒ってはいない、多分。

ただ、千鶴が晶人さんを嫌うのが辛いだけだ。

晶人さんは、千鶴が思っているような人じゃないのに。


「とにかく、連絡ありがとう。もう切るね」

『あ…待って…しずっ…』


プチッ。

最後まで聞かずに、私は電話を切った。

これ以上は、千鶴が実際に迎えに来かね無かったから。


いや。

これ以上、千鶴に気を使われるのが辛かったからだろう。


とにかく千鶴の事より、今は晶人さんだ。

酔って帰ってくるなら、色々準備しておかないと。

駅前からなら、もう十分くらいで帰ってくるだろうし。


まずは浴室からバスタオルと、あと着替え。

それから、キッチンに水を用意しとかなきゃ。


うぅっ、ベッドが名残惜しいけれど、そうも言っていられない。

私はそっと降り立ち、暗い表情をぶら下げて、部屋を後にする。


雨のせいで、酷く憂鬱な気分だった。


†††††


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