Rainy-Rainy
私は、お母さんとよく似ている。


顔も背格好も、写真の中の昔のお母さんとそっくりなのだ。

それこそ、生き写しみたいに。

違うところなんて、眼帯があるかないかや、小さな黒子の位置の違い位。


おじいちゃんや、桂くんのおじさん達でさえ、ふとした折に私とお母さんを呼び間違えたりするのだ。

それくらい、私はお母さんと同じなのだ。


だから、だろう。


晶人さんはお母さんが亡くなってから、お酒に酔うと、眼帯を外した私とお母さんを混同するようになった。


きっと顔以外にも声や些細な仕種もそっくりだったからで、そして何より。

晶人さんが、お母さんの死を認められない位に、深く深く愛していたからだと思う。


だから晶人さんが、私の中にお母さんを求めるようになったのは、ある意味自然な事だったんだろう。


でも、それは私にとっては、これ以上無いくらい、棚ぼただった。

だって、晶人さんの気持ちは手に入らなかったけれど、彼の体は手に入ったのだから。



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