Rainy-Rainy
「晶人……さん」


隣で静かに寝息を立てている晶人さんの髪を、私は優しく撫でた。

疲れて、お酒もよく回ったのだろう。

本当にぐっすりと眠っている。


晶人さんは、一体どんな夢を見ているのだろう。

こんなに休まった寝顔をしているのは、お母さんを夢に見ているから?

でも、そうだとしても、私は素直に今の幸せを喜びたい。

愛する人に、形だけでも本気で愛されたのだから。


「大好きです、晶人さん」


私は彼の前髪を掻き分け、そっと額に口付けた。


それから、時計に目を向ける。

もう深夜の十一時を回っていた。


ああ、いけない。

まだ、こうしていたいけれど、まだ明日の宿題をやっていない。

急いで終わらせないと、流石に、今日も寝る時間が無くなるのは困るもの。


私は渋々ベッドから抜け出すと、結局使わなかったタオルを体に巻き付けた。

と、そこで……。


ぐーっ。

突然、お腹の虫が大きな声で鳴き出した。


「……ぅぁ」


一瞬で、紅潮する私。

寝ている晶人さんが気付くはずも無いのに、堪らなく恥ずかしくなってしまう。


「何て、はしたない……」


いくらお昼から何も食べていなかったからって、晶人さんの前で鳴ることないじゃない。


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