Rainy-Rainy
「う、最悪……」


ようやくにしてコンビニに辿り着き、私は自身の有様を省みて呻いた。

ビニール傘をさして来たんだけれど、ほとんど意味が無かったようだ。


「こんなに雨が降るのなんてサイアク…」


雨は先程から、一層激しさを増している。

おかげで、傘で防げるのなんて、ホントに一部。

気休め程度だった。


しかも、水溜まりに突っ込んでしまった靴に至ってはもうどうしようもない。


「……うぅ」


さっさとお弁当を買って帰ろう。

どうせお風呂に入るなら、別に濡れたって関係ないし。


猫のソレのように一度ブルッと体を震わせて、髪の水を弾いてから店内へと入る。

店内は少し冷房が効いていて、濡れた体にはほんのりと寒かった。


私は片腕で体を抱くようにしながら、お弁当コーナーへと向かう。


「何にしようかな…」


お弁当の棚を前にして、お肉をメインにするか、魚をメインにするかで首を捻る。


ちょっと悩む。

うーん、そうだな。


昨日は夜魚だったし……あ、でもその前はお肉だったし……いやいや、でも……。


…うん。

今日はお肉にしよう。


結局何となくで決めて、私は残っていた気持ち程度お肉が入った弁当に手を延ばした。

一応、女の子だからさ。

あんまりお肉を取り過ぎるのは、後が怖い。


……だが、


「…………へ?」


私が腕を伸ばしたと同時に、もう一つの腕がお弁当を掴んでいた。

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